チェロとバイオリンのこと

チェロを始めたことで楽器全般に興味を持つようになった僕ですが、中でもバイオリンにはずっと魅せられ続けています。プロダクトデザイナー的な視点からも、この楽器には惹き付けられます。実に勉強になるのです。例えば...
1)マイナーな改良はあったものの基本的に400年以上デザインが変わっておらず、また音楽のジャンルを問わず同じ楽器を使用できるほど完成しており、普遍性がある。
2)一見装飾的な形状も全て必然の造形である。無駄がないのに美しい、究極の機能美である。
3)職人の手による一点物がある一方で量産品もあり、作家性と生産性を兼ね備えている。
4)決まったフォーマット(秩序)の中にも明確な違いが出るため、統一感を求められるマスから個性が重視されるソロまで汎用性が高い。
5)極めて高度でデリケートなパフォーマンスを実現させる道具であり、使い手に活かされ使い手を活かす、高いインタラクションがある。
6)誰が見ても分かる、音楽を象徴するアイコンであり、圧倒的なカリスマ性がある。
7)歴史的なものの中には楽器としてのみならず美術品として扱われるものもあり、芸術的価値が高い。
8)修繕を繰り返されながらも本体に限っては何百年も現役のものも存在し、驚くべき耐久性がある。また、そこまで活かされ続けるだけの愛着を生み出していることも確かである。
9)アマチュアからプロまでパイが広く、ピアノやフルートと並んで習う人が非常に多いが、子供は成長に合わせたサイズの楽器を使うため「一家に一台」「一人一本」ではなく「一人数本」の場合があり、製品に対する需要が安定して大きい。
こんなに完成度の高いプロダクトは他にありません。
いつもデスクからこれらの楽器を眺め、プロダクトデザインの心を忘れてはいけないなと思いながら仕事をしています。
事務所が楽器屋みたいになっちゃってますが…(笑)
- 2012.12.23 Sunday
- デザイン
- 01:57
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- by 清水慶太
いつの日か演奏も聴かせてね〜。